海外FXの利益を確定申告する方法とは? 個人事業主として青色申告は可能?
海外FXからの利益が一定の基準を超えると、確定申告を行い納税しなければなりません。ただ、確定申告と聞くと難しいイメージを持ってしまう方もいるのではないでしょうか?
また、会社員のうちに個人事業主になりながら節税をしたいと考えている人も多いかもしれません。
そこでこの記事では、
- 海外FXと国内FXの税金の違い
- 個人事業主になれば節税ができるのか?
- 確定申告のやり方
などについて解説します。この記事を読めば、個人事業主として海外FXの利益を節税できるかわかるようになります。ぜひ参考にしてみてくださいね!
茶虎
海外FX歴8年の現役トレーダー兼ライター
国内FXを1年ほど利用していたが、資金的に利用しにくいという理由で海外FXに転身。これまで口座開設した海外FX口座は10種類以上。トレード方針はスイングトレードとEAを使った自動売買。2018年より、ライターとして「FX」「節税」「クレジットカード」など投資・金融ジャンルを中心に200記事以上を執筆。海外投資にも関心があり、投資を行っている。
海外FXは国内FXよりも税率が高い
海外FXと国内FXでは課税方式が異なっており、海外FXの方が税金が高い傾向があります。
FX業者 | 課税方式 | 税率 |
---|---|---|
国内FX | 申告分離課税 | 20.315% |
海外FX | 総合課税 | 5%〜45% |
国内FXの課税方式は申告分離課税と呼ばれており、いくら稼いでも20.315%の税金しかかかりません。しかも、これらの税率には住民税も含まれているのです。
他方、海外FXの税率は所得税だけで5%〜45%もかかります。したがって、復興特別所得税や住民税も合わせれば、最大で利益の55%を税金でもっていかれるのです。
なお、海外FXの方が税金が高くなる目安は、収入から経費を引いた課税所得が約420万円。
逆に、海外FXの利益が420万円未満であれば、国内FXよりも税率が低くなります。
FXの利益を個人事業主として納税する方法とは?
FXで利益を出した場合、会社員、個人事業主にかかわらず、一定の所得を超えると確定申告で所得税を納税しなければなりません。
雇用形態 | 課税基準 |
---|---|
会社員 | FXからの所得が年間20万円を越えた |
個人事業主や専業主婦の場合 | FXやほかの所得を合わせて年間48万円を越えた |
なお、所得は収入を表す言葉ではありません。収入から経費を引いたことを意味します。収入が20万円を越えていても、経費を引いた後の金額が20万円を越えていなければ、所得税を納める必要はありません。
では、確定申告をする際、どのように納税すればよいのでしょうか?
会社員は白色申告で納税するケースが多め
会社員は白色申告で納税するケースがほとんどです。その理由は、FXの利益が青色申告の条件である事業所得の条件を満たすのが困難だから。収入が事業所得として認められるための主な条件は以下の通りです。
営利性や有償性がある | 商品を適正な価格で販売して利益を得ている |
---|---|
継続性や反復性がある | 事業を継続的に何度も行っていること |
自己の計算と危険において独立して行っている | 事業資金を貯金・融資など自己資金で行っている |
事業として客観的に成立している | 会社員よりも事業を行っている時間の方が長いケースなど、明らかに事業として行っている |
このような背景があるため、会社員をやりながらFXをやっている場合は、白色申告での納税を求められることがほとんどです。
FXは雑所得なので青色申告での節税ができない
また、FXの利益については、そもそも青色申告ができる3つの所得に該当しません。
- 山林所得
- 事業所得
- 不動産所得
そのため、個人事業主になった上で青色申告を行い節税するのも不可能です。実際にFXで稼いだ利益が雑所得なのか事業所得なのかについて裁判でも何度か争われたことがあります。
しかし、平成22年2月16日判決や横浜地裁の平成25年7月3日判決でも、FXの利益は事業所得に該当しない旨の判決が出てしまいました。
なお、FXの利益が事業所得として認められない主な理由は、事業としての客観性が認められないから。
- FXは投機性の高い取引なので、継続的に安定した収入が得られる可能性が低い
- 投資資金が自己資金や他社からの借り入れに限られている
- FXを反復継続して行うために、人を雇用したり設備に投資したりしていない
つまり、FXから得た利益は国内・海外にかかわらず青色申告できない可能性が高いので注意してください。
海外FXの収入を確定申告する方法
はじめて海外FXで収入を得た人が頭を悩ませるのは確定申告です。確定申告のやり方がわからずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか? そこで、海外FXの収入を確定申告する方法を解説します。
- 必要な書類を用意する
- 前年度の収入と経費を確認する
- 国税庁のホームページに行く
- 確定申告書の提出方法を選ぶ
- 確定申告書の作成を進める
- 確定申告書を税務署に提出後、納税する
順番に詳しく解説します。
1.必要な書類を用意する
確定申告をする前にそろえる必要がある書類がいくつかあります。
必ず用意する書類 |
|
状況に応じて必要な書類 |
|
また、FX以外の収入を申告することもあるでしょう。たとえば、会社員は年末調整とは別に住宅ローン控除や社会保険料の控除を受けられます。
他方、個人事業主としてFX以外の事業を行っている場合は、本業の収入は事業所得、FXの収入は雑所得でいっしょに申告しなければなりません。
2.前年度の収入と経費を確認する
海外FX業者では、毎年年末に年間取引報告書を発行しております。報告書には、これまでのトレード履歴も表示されていますが、年間の損益(英語名:Closed Trade P/L)だけ確認すれば問題ありません。
なお、口座を数か月利用しなくなったなどの理由で口座凍結をされた場合は、海外FX業者のサポートに連絡しましょう。
口座番号や取引履歴の期間(通常は前年度の1月1日〜12月31日)を添えてメールで問い合わせを行えば、取引履歴を送ってもらえます。
次にFXを行うためにかかった経費も計算します。
- FXのセミナー受講費用や書籍・メルマガ代
- パソコンの通信費用
- EAの購入費用
- VPS契約費用
- モニター代や机の購入費用
FXをする際に必要なものについては経費になりやすいですが、FXに関係ない費用については経費にならないので注意しましょう。
3.国税庁のホームページに行く
確定申告書を作成する際は、国税庁の確定申告書等作成コーナーからかんたんに作成できます。わざわざ税務署に行って確定申告書をもらう必要はありません。
4.確定申告書の提出方法を選ぶ
次に確定申告書の提出方法を以下のいずれかから選びましょう。
- e-Tax(マイナンバーカード方式)
- e-Tax(ID・パスワード方式)
- 印刷して提出
一番手軽なのは、e-Taxマイナンバーカード方式です。e-Taxなら税金の計算も自動で行います。また、電子申告するか印刷して郵送するだけなので楽です。
ただし、ICカードリーダー(2,000円〜)やマイナンバーカード、利用者識別番号が必要など事前準備に時間がかかるので注意しなければなりません。
5.確定申告書の作成を進める
確定申告書の作成は、基本的に以下の画像のように指示に従って入力するだけなので難しくありません。
FX業者の運営会社や住所はホームページに記載がありますし、サポートに問い合わせれば教えてくれます。なお、FX業者の住所が28字以上になる場合は略称や業者名を入力しても構いません。
納税額なども自動的に計算されます。
6.確定申告書を税務署に提出後、納税する
住民税や氏名・住所の入力などが完了したら、申告書の作成は終了です。
ただし、確定申告書を提出をしても、税務署から所得税の納税書が届くわけではありません。そのため、確定申告の期限(例年3月15日前後)までに現金やクレジットカード決済などで所得税を納税してください。
確定申告書の納税しなければならない金額をそのまま支払うだけです。
海外FXの税金対策とは?
会社員・専業にかかわらず、海外FXの利益にかかる税金はかなり高めです。毎月の収入が安定化してきたら個人事業主のまま納税するのは推奨できません。
税金対策を行う目安は課税所得が695万円を越えたタイミング!
所得税の税率が23%(住民税を合わせたら33%)になるので、法人化したり海外移住したりして節税を行いましょう。
法人化すれば税率が15%〜23.3%に下がる
法人化すれば税率が15%〜23.2%に下がります。個人の最大税率45%と比べてもかなりの節税効果が期待できるのではないでしょうか?
さらに、事業所得などほかの所得と損益を合算したり最大10年の損失繰越をしたりできます。
海外移住をすればさらに税金が安くなる
また、海外移住できるのであれば、法人税が安い国で法人化すれば税金が安くなり、利益を残しやすくなります。
世界には法人税が安いだけでなく住民税や相続税などほかの税金もかからない国もあるので毎年数百万円以上の利益が出ているのであれば、検討してみても良いかもしれません。
まとめ:利益が増えたら法人化した方が良い
会社員や個人事業主として海外FXで利益を得ている場合、経費を忘れずに申告するぐらいしか有効な節税方法がありません。そのため、利益が増えたら法人化を検討する必要があります。
法人化すれば、税率が15%〜23.2%まで下がるので、個人の最大税率45%よりもはるかに節税できるでしょう。なお、海外FXは税金が高いものの、国内FXよりも利益は出しやすい傾向があります。
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